海外にいても日本食からは離れられないということに気づいた
はじめてオーストラリアに足を踏み入れた2014年9月から5年が経った。
日本に帰ったりフィリピン留学に行ったりして実際にオーストラリアにいるのは3年ちょっとくらいだけれども、それでも随分と長い期間をオーストラリアで過ごしてきたなと思う。人生の約10分の1だ。こちらの文化の違いや英語を話すことにも慣れてきたなと感じるのだが、最近になってあることに気がついた。
いくら長く海外にいても僕は日本食から離れることができない。
せっかく海外にいるんだから
海外で生活してみようと思ってわざわざオーストラリアに来ているのだ。オーストラリアの食事がどんなものかくらい日本にいても想像できるし、実際に西洋的な食生活を送ることになるのだろうと思っていた。
せっかく海外に出てきたのだだから、食習慣も他国の文化に合わせるべきだと僕は思った。
別に米がなくてもパスタやパンで生活できるだろうとも思っていた。
日本にいる頃は別に米がなくても生きていけるタイプだと自分では思っていたし、実際にほぼパンしか食べてないという時期も若いころにはあった。
しかし実際に海外に出るとそうはならなかった。
オーストラリアに来た当初は日本食とは離れた食生活を送っていた。朝はコーンフレーク、昼はハンバーガー、夜はピザ、みたいな。洋食は好きだし、いくらでも食べられる。しかし、2週間も経つとどうにも日本食が恋しくなる。
ワンコインで食べられる牛丼や定食、お湯を注ぐだけのカップラーメンの便利さを痛感するのだった。
オーストラリアは日本食であふれていた
オーストラリアは日本食であふれていた。オーストラリアのどこにいても日本と同じような米は手に入れることができるし、日本食を提供する飲食店も数多くある。
もちろんオーストラリアに来たばかりの頃は安く手に入るパスタを茹でて生活していたのだが、気がつけば僕は米を炊く生活をするようになっていた。
炊飯器がないシェアハウスで暮らしていてもいつしか鍋で米を炊く方法まで覚えた。
外食でも日本食を食べることが多い。
例えば外でパスタを食べると15ドルくらいする。スーパーで500グラム1ドル以下で売っているのに。それならば同じくらいの値段のラーメンを食べる、ということになる。この同じくらいの値段ならば、という現象が積み重なっていつしか僕は日本食ばかりたべるようになった。
僕の住むシドニーでは日本食ブーム到来か、というほどに日本食レストランが多い。やよい軒、一風堂をはじめとした日本企業が進出してきているし、オーストラリアで起業した日本人経営の店も多い。さらには日本人以外の移民が経営している店、オーストラリア人が経営している店もかなり増えてきている。
なによりラーメン屋が多い。オーストラリアにおいてラーメン屋は日本人の専売特許のようなものだったが、最近ではRaraやRising sun workshopのようなオーストラリア人が作る日本式のラーメン屋がでてきた。
また、多くのカフェが抹茶をはじめとした日本の食をとりいれている。
すべてが日本人が納得する日本食とは言えないかもしれないが、シドニーで食べられない日本のものというのは少なくなってきている。寿司、ラーメンからはじまって、うどん、そば、たこ焼き、お好み焼き、牛丼、かつ丼…… 更に自炊をすれば日本にいるときとほぼ変わらない食生活になる。
日本食を離れられない理由
日本食を離れてまで食べたいものがない、ということもある。
オーストラリアには独自の食文化と呼べるものがない。つまりオーストラリア料理というものがない。ベジマイトとカンガルーの肉くらいか。それもあまりうまいものではない。
オーストラリアは都市ごとの特徴が少なく、どこに行ってもだいたい同じものを食べているように思う。大阪でたこやきとか、北海道で海鮮とかご当地グルメのようなものがない。オーストラリア各地を周ったわけでもないのでこれらは僕の想像でしかないんだけど、多分そんなに間違ってないんじゃないかな。カフェやパブのメニューはどこにいってもだいたい同じだし、どの都市でもだいたいみんな同じものを食べてる。
そのおかげもあってか世界各国の料理店がシドニーにはあふれている。色んな国の料理を試してみることができる。色んな国の文化に触れて理解を深めることができる。しかし僕が汗水流して働いたお金を、うまいかどうかわからない料理に気安く使えるかというと、それは難しい。かなりの勇気がいる。口に合わない可能性のほうが大きいからね。
いろんな国の料理を試してはみたけどやはり口にあわないことが多い。まずいというわけではないんだけど、体に合わない気がする。特にアジア各国の料理で使われいるパサパサのロングライスは合わない。
それから香辛料や油やハーブも「これはどうしても食べられない」というものが結構ある。
僕の場合はコリアンダーがそうだ。サラダの中に平然と混ざっていて吐きそうになることがある。
日本食からは逃れられないということに気がついた
結局のところ僕の身体が醤油とみりんとキューピーマヨネーズを求めている。子供のころから慣れ親しんだ味から僕は離れることができないのかもしれない。
海外に出て、最初のころは食習慣も海外に合わせなければいけないと思っていた。でも別に海外にいるからといって絶対にその国の食べ物を受け入れなければいけないということはないと最近になって思う。
みんな好きなものを食べて、嫌いなものはたまに食べればいいと思う。